タイプ別緑内障、失明しないためにもおさえておきたい原因と治療の進め方

 

 

緑内障は、何らかの原因によって視神経が障害され、視野(見える範囲)が徐々に狭くなっていく病気です。日本における中途失明原因の上位を占める疾患として知られており、多くの方が罹患しています。

しかし、緑内障は10~20年という長い年月をかけてゆっくり進行することが多く、初期にはほとんど自覚症状がありません。

そのため、見えにくさを感じたときにはすでに病気が進行していることも少なくありません。そのまま適切な治療を受けずに放置すると、最悪の場合は失明に至る可能性もあります。

また、一度障害を受けた視神経は元に戻すことができません。そのため、緑内障では早期発見と早期治療が何より重要です。

 

さて、この緑内障、いくつかの種類に分かれているのをご存知でしょうか?

実は、それぞれ原因や病態、治療方法が異なります。自分がどのタイプの緑内障なのかを知ることは、適切な治療を継続するうえでも大切です。

そこで今回は、それぞれの種類について詳しく解説していきます。

 

 

まず知っておきたい「緑内障」で視野が欠ける仕組み

 

まず、緑内障になると、なぜ視野が障害され、失明することになるのかを簡単に説明していきます。

 

私たちの目は、眼球の中を循環する「房水(ぼうすい)」と呼ばれる透明な液体によって栄養が運ばれています。

房水は、目の中を循環した後、「隅角(ぐうかく)」という排出口から排出されます。この房水の産生と排出のバランスによって、眼球内部の圧力である「眼圧」が保たれています。

しかし、何らかの原因で房水の流れが悪くなると眼圧が上昇し、視神経に負担がかかり視神経が障害されていきます。

眼圧が正常範囲内であっても視神経が障害されることはありますが、それは血流障害による視神経が弱っていることや遺伝的に視神経が弱いことが原因と考えられています。

 

このようにして視神経が傷つくと、視野の一部が欠け始めます。そして病気が進行すると、その欠損範囲が徐々に広がっていき、やがて失明することになるのです。

 

 

 

緑内障は大きく3つのタイプに分けられます

 

ここからは本題である、緑内障の種類について説明していきます。

緑内障は大きく以下の3つに分類されます。

・原発緑内障

・続発緑内障

・小児緑内障(発達緑内障)

では、それぞれについて詳しくみていきましょう。

 

① 最も多い「原発緑内障」

原発緑内障は、緑内障患者さんの約90%を占める最も一般的なタイプです。

「原発」とは、はっきりとした原因が分からないという意味です。加齢や体質、遺伝的要因などが関係していると考えられていますが、明確な発症原因は特定されていません。

また、原発緑内障は房水の流れがどこで障害されるかによって、

さらに

A.原発開放隅角緑内障

B.原発閉塞隅角緑内障

の2つに分けられます。

 

A.原発開放隅角緑内障

原発開放隅角緑内障は、最も患者数の多い緑内障です。

このタイプでは、房水の出口である隅角そのものは開いています。しかし、隅角の先に存在する「線維柱帯(せんいちゅうたい)」というフィルター組織が目詰まりを起こし、房水がうまく排出されなくなります。

その結果、眼球内に房水が溜まり、眼圧が徐々に上昇します。そして、長期間にわたり視神経に負担がかかることで、視野障害が進行していきます。

この病気の特徴は、非常にゆっくり進行することです。そのため、自覚症状がほとんどなく、健康診断や眼科検診で偶然発見されるケースも少なくありません。

さらに、視野の欠損は周辺部から始まることが多く、両眼で補い合うため、かなり進行するまで気付きにくい傾向があります。

 

正常眼圧緑内障

原発開放隅角緑内障の中で、日本人に最も多いのが「正常眼圧緑内障」です。

一般的に正常眼圧は10~21mmHg程度とされています。しかし、正常眼圧緑内障では、この範囲内の眼圧であっても視神経障害が進行します。

視神経の強さには個人差があり、正常とされる眼圧でも障害を受けやすい方がいるためです。また、血流障害や遺伝的要因、自律神経の影響なども関与していると考えられています。

そのため、「眼圧が正常だから緑内障ではない」とは言えません。眼底検査や視野検査を含めた総合的な評価が必要になります。

 

 

B.原発閉塞隅角緑内障

原発閉塞隅角緑内障は、隅角が狭くなったり閉じたりすることで房水の排出が妨げられ、眼圧が上昇するタイプの緑内障です。

もともと角膜や眼球全体が小さい方、遠視の方、高齢者、女性などは隅角が狭い傾向があり、このタイプを発症しやすいとされています。

さらに、加齢によって目のレンズである水晶体が厚くなると、虹彩を前方へ押し出し、隅角をさらに狭くしてしまいます。その結果、房水が流れにくくなり眼圧が上昇します。

原発閉塞隅角緑内障には、「慢性」と「急性」の2つのタイプがあります。

 

慢性閉塞隅角緑内障

慢性閉塞隅角緑内障では、隅角が少しずつ狭くなり、ゆっくりと眼圧が上昇します。

症状がほとんどないまま進行することもあり、定期検査で発見されることが少なくありません。

 

急性閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)

急性閉塞隅角緑内障では、隅角が突然完全に閉塞してしまいます。

すると房水が急速に溜まり、眼圧が短時間で著しく上昇します。

その結果、

・激しい眼の痛み  ・強い頭痛  ・眼の充血  ・吐き気や嘔吐  ・急激な視力低下  ・眼のかすみ  ・光の周りに虹のような輪が見える(虹視症)

といった症状が現れます。

この状態を「急性緑内障発作」と呼びます。

急性緑内障発作は眼科救急疾患の一つであり、治療が遅れると数日で失明に至る危険性もあります。そのため、このような症状が現れた場合は速やかに眼科を受診することが重要です。

 

 

②他の病気や薬が原因で起こる「続発緑内障」

続発緑内障は、他の病気や外傷、薬剤の影響などによって引き起こされる緑内障です。

原因としては、

・ぶどう膜炎 ・網膜血管閉塞症 ・網膜剥離 ・糖尿病網膜症 ・眼外傷 ・ステロイド薬の長期使用 ・全身性疾患

などが挙げられます。

例えば、ぶどう膜炎の場合、その合併症として起こる「ぶどう膜炎緑内障」を発症することがあります。目に炎症が起こることで隅角が腫れて房水が流れにくくなり緑内障を引き起こすのです。

この場合、緑内障のきっかけとなったぶどう膜炎があると、緑内障の進行を抑えることができないため、緑内障の治療と並行してその原因となるぶどう膜炎の治療も行う必要があります。このように、他の病気や外傷、薬剤の影響が絡む場合は、他のタイプの緑内障と治療の進め方が異なってきます。

 

 

③ 赤ちゃんや子どもに起こる「小児(発達)緑内障」

小児緑内障は、生まれつき房水の排出口である隅角の形成に異常があることで発症する緑内障です。

近年では「発達緑内障」と呼ばれることもあります。

乳幼児の眼球は柔らかいため、眼圧が高い状態が続くと眼球自体が大きくなる「牛眼(ぎゅうがん)」という特徴的な症状がみられることがあります。

また、

・黒目が大きい

・涙が多い

・まぶしがる

・目を開けたがらない

といった症状が現れる場合があります。

また、他の病気や外傷、薬剤の影響によって小児期に発症するケースもあります。

小児緑内障は早期診断と適切な治療が視機能の発達に大きく関わるため、異常が疑われる場合は早めの受診が重要です。

 

 

緑内障は「種類」を知ることが失明予防につながります

 

これまで見てきたように、緑内障には原発緑内障、続発緑内障、小児緑内障など、さまざまな種類があります。それぞれ原因や進行の仕方、治療方法が異なるため、ご自身がどのタイプの緑内障なのかを理解することは、適切な治療を継続するうえでとても大切です。

緑内障は、早期に発見し適切な治療を続けることで進行を抑え、視力や視野を守ることができる病気ですが、一度失われた視野を元に戻すことは、現在の医療では非常に困難とされています。そのため、目の違和感を感じたときはもちろん、自覚症状がなくても定期的に眼科検診を受けることが重要です。

また、日本人に最も多い正常眼圧緑内障のように、眼圧が正常範囲であっても病気が進行するケースも少なくありません。そのため、眼圧だけで安心するのではなく、視神経や視野の状態を継続的に確認していくことが大切です。

 

当院では、眼科での治療を基本としながら、その補完的なアプローチとして鍼灸や整体を行っています。鍼灸によって目の周囲や首肩の筋緊張、自律神経のバランスに働きかけ、整体と組み合わせることで、房水循環や目の周囲の血流改善を目指します。これらは緑内障そのものを治す治療ではありませんが、眼科での治療と併用することで、目の健康を支える一助となる可能性があります。

大切なのは、「見えにくくなってから」ではなく、「見えている今」から行動することです。緑内障について正しく理解し、ご自身の病気と向き合いながら、眼科での定期的な診察と適切な治療を継続していきましょう。その積み重ねが、将来の大切な視力と視野を守ることにつながります。

土井治療院