パーキンソン病の原因とは?~最先端研究で見えてきた「共犯説」とは

パーキンソン病は日本で約25万人以上が罹患しているとされる神経変性疾患です。

高齢化とともに患者数は増加しており、今後さらに増えることが予想されています。

多くの方は

「手が震える病気」

というイメージを持っています。

しかし実際には、

・歩きにくい

・転びやすい

・姿勢が前かがみになる

・表情が乏しくなる

・声が小さくなる

・便秘

・睡眠障害

・抑うつ

・自律神経症状

など全身に様々な症状を引き起こします。

そして近年、世界中の研究者たちは

「なぜパーキンソン病になるのか」

という根本原因の解明に挑戦しています。

実は現在、パーキンソン病研究は大きな転換期を迎えています。

昔はドーパミン不足の病気だった

従来の医学では、

パーキンソン病=ドーパミン不足

と考えられていました。

脳の中には中脳の「黒質」という場所があります。

ここに存在する神経細胞がドーパミンを作っています。

しかしパーキンソン病ではこの神経細胞が徐々に減少していきます。

その結果として、

・振戦(震え)

・筋固縮(こわばり)

・無動(動きにくさ)

・姿勢反射障害

が起こります。

現在使われているL-ドーパ製剤も、不足したドーパミンを補う治療です。

しかしここで疑問が生まれます。

なぜ黒質の神経細胞は死んでしまうのでしょうか。

αシヌクレイン発見が研究を変えた

1997年。 研究者たちはパーキンソン病患者の脳内の黒質にレビー小体という異常たんぱく質の塊を発見しました。

するとそこに大量の 「αシヌクレイン」 というタンパク質が含まれていることを発見しました。

さらに遺伝性パーキンソン病の一部では αシヌクレイン遺伝子異常 が発見されました。

この発見により、 「αシヌクレインこそが犯人だ」 という考え方が世界中に広がりました。

実はαシヌクレインは悪者ではない

ここで重要なのが、

αシヌクレインは本来悪いタンパク質ではない

ということです。

正常な脳にも存在しています。

主な役割は、

・神経伝達の補助

・シナプス維持

・神経保護

・酸化ストレス防御

です。

つまり本来は脳を守る存在です。

しかし何らかの理由で形が変化すると問題が起きます。

活性酸素と炎症が引き金になる

近年の研究では、

・加齢

・重金属、マイクロナノプラスチック、農薬曝露

・睡眠不足

・慢性炎症

・ミトコンドリア障害

などによって活性酸素が増えると、

αシヌクレインが異常な形へ変化すると考えられています。

αシヌクレインは最初は増え続け、活性酸素を除去し、神経を保護しようと頑張るのです。

しかしその後も活性酸素が発生し続けると、次第にαシヌクレイン同士がくっつき始めます。

これを「凝集」と呼びます。

本当に危険なのはレビー小体ではない?

最近の研究では、完成したレビー小体(αシヌクレインの塊)よりも途中段階の小さな凝集体が危険ではないかと考えられています。

これをオリゴマーと呼びます。

オリゴマーは、

・神経細胞膜を傷つける

・ミトコンドリアを破壊する

・神経伝達を阻害する

ことがわかっています。

つまり、レビー小体は墓石。オリゴマーは実行犯という考え方もあります。

参考文献 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36032665/

 

ミクログリアという脳の免疫細胞

脳には免疫細胞が存在します。

それがミクログリアです。

ミクログリアは脳内の警察官です。

本来は、

・異常タンパク質除去

・ゴミ掃除

・神経保護

を行っています。

つまり味方です。

しかし異常αシヌクレインが増え続けると話が変わります。

 

ミクログリアの暴走

大量のレビー小体(αシヌクレインの塊)に反応したミクログリアは、

次第に過活動状態になります。

すると、

・TNF-α

・IL-1β

・IL-6

などの炎症性サイトカインを放出します。

さらに大量の活性酸素も産生します。

本来は神経を守るための反応だったものが、

今度は神経細胞そのものを傷つけ始めます。

これが神経炎症です。
参考文献 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37001680/

現在最も有力な「共犯説」

昔の研究

αシヌクレインが原因

現在

αシヌクレインだけでは説明できない

となっています。

現在有力なのは、

複数の要因が悪循環を起こす

という考え方です。

つまり共犯説です。

 

共犯者① αシヌクレインが塊になる途中段階のオリゴマー

オリゴマーが

・神経細胞膜を傷つける

・ミトコンドリアを破壊する

・神経伝達を阻害する

共犯者② ミクログリア

本来脳内の警察官であるはずのミクログリアが、大量の活性酸素が発生することで活性化され、神経自体を攻撃してしまう。

共犯者③ 活性酸素

活性酸素が発生し続けると異常蛋白質(αシヌクレイン)は凝集し、ミクログリアは攻撃型になりと神経細胞を傷つけ続ける。

共犯者④ ミトコンドリア障害

攻撃型ミクログリアやオリゴマーの影響でエネルギー工場であるミトコンドリアが破壊。結果神経に必要なエネルギーが供給できず、神経細胞の死に繋がる。

 

参考文献https://medisearch.io/share-article/mu1KgAYXk59G3EoTwxeYdg

 

共犯者⑤ 腸内環境異常

腸内環境の異常もパーキンソン病に大きく関わっていることがわかってきました。

腸から始まるパーキンソン病

最近注目されているのが

腸脳相関です。

パーキンソン病患者では、

便秘が発症の10〜20年前から存在することがあります。

研究者のBraakは、

病気は腸から始まる可能性がある

と提唱しました。

腸内炎症

αシヌクレイン凝集

迷走神経を上行

脳へ到達

黒質障害

という流れです。

 

Body FirstとBrain First

最近ではさらに研究が進み、

患者によってタイプが違うこともわかってきました。

Body First

腸や自律神経から始まるタイプ

Brain First

脳から始まるタイプ

つまり、

パーキンソン病は一つの病気ではなく、

複数の病態の集合体

かもしれないのです。

参考文献 https://medisearch.io/share-article/1CxLb9Gfmu5HLvVFsWFdBm

土井治療院の考え方

ここまで読んでくださった方の中には、

「確かに研究はわかったけれど、なぜ私がパーキンソン病になったのだろう?」

と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実際に当院へ来院されるパーキンソン病患者さんには、ある共通点があります。それは、

とても真面目で、責任感が強く、頑張り屋さんであること。

もちろん全員ではありません。

しかし、

「家族のために」
「会社のために」
「子どものために」

と、自分のことを後回しにして生きてきた方が本当に多いのです。

例えば、

「仕事が忙しくて、自分のことは後回しだった」

「休日も仕事のことばかり考えていた」

「親の介護を何年も続けていた」

「家族を養うために単身赴任で頑張っていた」

「食事はコンビニや外食ばかりだった」

「睡眠時間を削って働いていた」

「疲れていても休むことができなかった」

このような経験はありませんか?もし一つでも当てはまるなら、あなたの身体は何十年もの間、見えないストレスと戦い続けてきたのかもしれません。

近年の研究では、長期間のストレスは脳内の免疫細胞であるミクログリアを過剰に活性化させることがわかってきています。

さらに、慢性的なストレスは活性酸素を増やし、脳や神経へダメージを与える可能性があります。

また、栄養の偏りや食生活の乱れは腸内環境を悪化させ、腸の炎症を引き起こします。

そしてその炎症は、迷走神経を介して脳へ影響を与える可能性も指摘されています。

睡眠も同じです。

脳には「グリンパティックシステム」と呼ばれる脳内の掃除システムがあります。

睡眠中に脳の老廃物や異常タンパク質を排出する大切な仕組みです。

しかし、何年も睡眠不足が続くと、脳の掃除が追いつかなくなり、異常蛋白質や活性酸素が溜まり、脳内炎症がさらに悪化するという悪循環に陥ります。

さらに、農薬、重金属、マイクロプラスチックなどの環境要因も研究対象となっています。

もちろん、これらが単独でパーキンソン病を引き起こすわけではありません。

しかし、何十年という長い年月の中で、少しずつ身体へ負担をかけ続けていた可能性は十分考えられます。

もしこれらが本当だとしたら、パーキンソン病は「怠けていた結果」でも「運が悪かっただけ」でもありません。

むしろ、

一生懸命に生きてきた結果として起こってしまった病気

なのかもしれません。そう考えると、これほど切ないことはありません。

しかし私は逆に希望もあると思っています。なぜなら、もし脳だけが原因なら、私たちにできることは非常に限られてしまいます。しかし実際には、最新研究によって、パーキンソン病は脳だけでは説明できないことがわかってきています。

私たちはパーキンソン病を

「脳と身体全体のネットワーク障害」

として捉えています。

重要なのは、

・自律神経

・腸内環境

・慢性炎症

・活性酸素

・睡眠

・運動

・感覚入力

・ストレス

などの全身のつながりです。

もちろん、失われた神経細胞そのものを元通りにすることは簡単ではありません。

しかし、神経は一生変化し続けることができます。

これを「神経可塑性」と呼びます。

近年では、

適切な運動・呼吸

感覚刺激

睡眠改善

炎症の抑制

自律神経機能の改善

によって、新しい神経ネットワークが形成される可能性も示されています。

実際に当院へ来院された患者さんの中にも、

・歩きやすくなった

・転倒が減った

・姿勢が改善した

・表情が明るくなった

・声が出やすくなった

・趣味を再開できた

という方が少なくありません。

私たちは、

「パーキンソン病だから仕方ない」

とは考えていません。

だからこそ当院では、

鍼灸

神経整体

感覚統合トレーニング

脳・神経エクササイズ

自律神経評価

を組み合わせ、

脳だけではなく身体全体を整えることを大切にしています。

まとめ

パーキンソン病は単なるドーパミン不足ではありません。

現在の最先端研究では、

・αシヌクレイン

・ミクログリア

・活性酸素

・ミトコンドリア障害

・腸内環境異常

などが複雑に関わり合う「共犯説」が有力になっています。

そして医学は今、

脳だけを見る時代から、

脳と身体のつながりを見る時代へと大きく進化しています。

もしあなたが、

「もう進行するだけだと言われた」

「何をしても変わらないと思っている」

のであれば、

まだ諦めないでください。

私たちは、

あなたの脳だけではなく、

これまで歩んできた人生や生活背景も含めて向き合いたいと思っています。

パーキンソン病と共に生きる未来が、

少しでも希望のあるものになるように。

土井治療院はこれからも最新の神経科学を学び続け、患者さんと共に歩んでいきます。

プロフィール
記事監修者
土井治療院院長
機能回復ジムREBRUSH代表
土井亮介
良いと言われる施術技術があれば、北は北海道から南は九州までどこへでも足を運び、鍼灸整体、気功、波動療法、エネルギー療法など様々な技術に磨きをかけ続け、セミナーにかけた総額は2.000万円円以上。あらゆる不調を改善へと導くため、今でも絶えず技術の追求をし続けています。2013年「土井治療院開院」これまでの延べ臨床数176,123名。
YouTubeチャンネル 「自分と家族を治せる整体塾 土井治療院」 チャンネル登録数60000人
【保有資格】
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
・前庭プロフェッショナルコース修了
・頸性めまいに対する徒手的アプローチコース修了
・TNC(TOTAL NEURO CONDITIONING)ベーシック認定
・TNC(TOTAL NEURO CONDITIONING)アドバンス認定
・Pilates Synthesis Mat course修了
・Pilates Synthesis Chair course修了
・Pilates Synthesis Reformer&Tower course修了
・イネイト活性療法アカデミー修了
・整動鍼脊柱編・上下肢編・腹背編修了
・ニューライフリメディ療法終了
・BRM後継者育成コース修了
・真体療術学院修了
・内海式・治療専門家セミナー修了
・JADA協会公認STB2級取得
・新合気柔術集中特別セミナー基礎修了
・HTTB主催身体測定技術認定
・HTTB主催インソールアドバイザー
・アクシスメソッド修了
・MSP修了
など

土井治療院