パーキンソン病と聞くと、「手が震える」「歩きにくくなる」といった運動症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし近年、「なぜパーキンソン病になるのか」という根本原因の解明が進む中で、患者さんが歩んできた人生や、ある特定の「性格傾向」が発症に関わっているのではないかと注目されています。
実際に当院へ来院されるパーキンソン病の患者さんにも、ある共通点が多く見受けられます。それは、**「とても真面目で、責任感が強く、頑張り屋さん」**であるということです。
「家族のために」「会社のために」と、自分のことを後回しにして一生懸命に生きてきた。こうした立派な性格が、なぜパーキンソン病という神経の難病と結びついてしまうのでしょうか? 今回は、最新の脳科学の視点から、性格とパーキンソン病の関係について深掘りしてみたいと思います。
古くから研究されてきた『パーキンソン病になりやすい性格』の特徴とは?
実は、パーキンソン病と特定の性格との関連については、古くから多くの研究が行われてきました。 過去の研究では、パーキンソン病の患者さんには**「内省的・頑固・克己的・勤勉・道徳的・几帳面」**といった特性が強いと報告されています。また、失敗や危険を強く避けようとする「害回避」の傾向が高く、新しい変化や刺激を求めない傾向があるとも言われています。
さらに、数万人規模の大規模な追跡研究では、「不安になりやすい」といった神経症傾向のある性格が、将来のパーキンソン病の発症リスクを高めるという結果も出ています。
では、なぜ真面目で几帳面、そして責任感が強い性格が、脳の病気を引き寄せてしまうのでしょうか。そのヒントは、脳の**「報酬系」というシステムと「予測誤差」**にあります。
脳の「こうあるべき」という予測がもたらすストレス
私たちの脳内には、「報酬系」と呼ばれるネットワークが存在します。これはドーパミンという神経伝達物質を中心に、意欲や学習、感情のコントロールなどを司る重要なシステムです。
脳は常に、**「世界はこうあるべき」「自分はこうあるべき」という『予測(期待)』を持っています。例えば、「休日は静かであるべきだ」「仕事は完璧にこなすべきだ」「親としてこうあるべきだ」といったものです。しかし、現実がその予測通りに進まないと、脳はそれを「予測誤差(エラー)」**として認識します。
ここで重要なのが、**「その予測に対するこだわり(精度)の強さ」**です。 完璧主義で責任感が強い人は、「こうあるべき」という予測へのこだわりが異常に高い状態にあります。そのため、現実との間にほんのわずかなズレ(予測誤差)が生じただけでも、それを重く受け止め、「こんなはずではない」「もっと頑張らなければ」と大きなストレスを感じてしまうのです。
期待が大きく外れ続けると、脳内のドーパミン神経系は強烈に活動を抑え込まれ、「失望」という感情を生み出し、モチベーションや希望を奪ってしまいます。真面目な人ほど、常に自分に高いハードルを課し、慢性的な「不足感」や「失望感」という見えないストレスを脳内で抱え続けている可能性があります。
慢性ストレスが「脳の免疫細胞」を暴走させる
このような「頑張りすぎ」や「完璧でなければならない」という精神状態は、自律神経にも大きな影響を与えます(ポリヴェーガル理論の視点)。 常に予測誤差を埋めようと気を張っている状態は、交感神経(闘争・逃走のアクセル)を過剰に踏み続けている状態です。
この慢性的なストレスが長期にわたって続くと、脳の内部では恐ろしい変化が起きます。 脳内には本来、ゴミ掃除や異常なタンパク質の除去を行い、神経を守ってくれる「ミクログリア」という警察官のような免疫細胞が存在します。しかし、長期間のストレスによって脳内に大量の活性酸素や「炎症性サイトカイン」が発生すると、このミクログリアが「保護型」から「破壊型(攻撃型)」へと性質を変え、過活動状態(暴走)に陥ってしまうのです。
暴走したミクログリアは、自らも活性酸素を撒き散らし、ドーパミンを作る黒質の神経細胞など、大切な神経そのものを傷つけ始めます。つまり、「責任感」や「完璧主義」からくる終わりのない精神的ストレスが、自律神経の乱れを招き、最終的に脳内で「神経の破壊(脳内炎症)」という物理的なダメージを引き起こす引き金になり得るのです。
性格は「主犯」ではなく「一つの加担要素(共犯者)」
ここまで、真面目な性格がどのように脳を傷つけるかをお話ししましたが、一つ絶対に誤解していただきたくないことがあります。それは、「性格が原因でパーキンソン病になった」という単純な話ではないということです。
現在の最新研究では、パーキンソン病は単一の原因で起こるのではなく、様々な要因が複雑に絡み合って発症する**「共犯説」**が有力視されています。 年齢(加齢)、男性であること、農薬や工業用溶剤などの環境要因、腸内環境の異常、睡眠不足、反復する頭部外傷など、数多くの要素が存在します。
「完璧主義」や「責任感の強さ」によるストレスは、決して単独で病気を起こす主犯格ではありません。発症を後押しする、いくつかの**「加担要素(共犯者)」の一つ**に過ぎないのです。 また学術的には、発症前から「不安になりやすい」「几帳面になる」といった性格的変化が見られるのは、元々の性格というよりも、運動症状が現れる何年も前から脳内で静かに進行している病気(前駆期変化)の影響である可能性も指摘されています
性格は変えることができる!?
「自分は不安になりやすい性格だから仕方ない」「生まれつきの性格は変えられない」と思い込んでいませんか?
実は、過度な不安感が強い人は、純粋な心の問題というよりも、「内受容感覚(内臓の状態や体性感覚からの入力)」が問題で起きている可能性が指摘されています。 内受容感覚とは、胃腸の働きや心拍、筋肉の緊張など、自分の身体の内側から脳へ送られるサインのことです。
例えば、無意識のうちに胃腸の働きが低下していたり、身体が慢性的にこわばっていたりすると、脳はその身体からの不快な信号(エラー)をキャッチし、「何か悪いことが起きているのではないか」というネガティブな感情や不安感として変換してしまいます。
つまり、不安感や過剰な心配性といった性格的な傾向は、「心が弱いから」ではなく「身体のセンサーが異常を知らせているから」起きているのかもしれないのです。 これを裏を返せば、鍼灸や整体、生活習慣の見直しなどを通じて身体の状態(内臓の働きや体性感覚)を整えてあげれば、脳へ送られる不快な信号が減り、結果として心も穏やかになり「性格的な傾向」すら和らぐ可能性があるということです。
まとめ:自分を責めるのではなく、労わること
もしあなたが「真面目で責任感が強く、家族や仕事のために自分を犠牲にしてきた」のだとしたら、パーキンソン病は決して「怠けていた結果」でも「運が悪かっただけ」でもありません。むしろ、一生懸命に限界を超えて生きてきた結果として、身体が悲鳴を上げてしまった状態なのです。
大切なのは、「自分の性格が悪かったのだ」と自分を責めることではありません。心や性格を無理やり変えようとするのではなく、まずは身体の声(内受容感覚)に耳を傾け、緊張を解きほぐしていくことです。 脳と身体は密接に繋がっています。身体を整え、自律神経を落ち着かせて「安心・安全」を感じる時間を持つことは、脳内の炎症を鎮め、これ以上の進行を防ぐための大切な第一歩となります。
当院では、これまでのあなたの歩んできた人生や生活背景にもしっかりと向き合いながら、脳と身体全体のネットワークを整えるアプローチを行っています。一人で頑張りすぎず、ぜひ身体を休め、安心させる方法を一緒に見つけていきましょう。
プロフィール
記事監修者
土井治療院院長
機能回復ジムREBRUSH代表
土井亮介
良いと言われる施術技術があれば、北は北海道から南は九州までどこへでも足を運び、鍼灸整体、気功、波動療法、エネルギー療法など様々な技術に磨きをかけ続け、セミナーにかけた総額は2.000万円円以上。あらゆる不調を改善へと導くため、今でも絶えず技術の追求をし続けています。2013年「土井治療院開院」これまでの延べ臨床数176,123名。
YouTubeチャンネル 「自分と家族を治せる整体塾 土井治療院」 チャンネル登録数60000人
【保有資格】
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
・前庭プロフェッショナルコース修了
・頸性めまいに対する徒手的アプローチコース修了
・TNC(TOTAL NEURO CONDITIONING)ベーシック認定
・TNC(TOTAL NEURO CONDITIONING)アドバンス認定
・Pilates Synthesis Mat course修了
・Pilates Synthesis Chair course修了
・Pilates Synthesis Reformer&Tower course修了
・イネイト活性療法アカデミー修了
・整動鍼脊柱編・上下肢編・腹背編修了
・ニューライフリメディ療法終了
・BRM後継者育成コース修了
・真体療術学院修了
・内海式・治療専門家セミナー修了
・JADA協会公認STB2級取得
・新合気柔術集中特別セミナー基礎修了
・HTTB主催身体測定技術認定
・HTTB主催インソールアドバイザー
・アクシスメソッド修了
・MSP修了
など








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土井治療院でございます。