【第1章】パーキンソン病で見られやすい運動器疾患の不調
パーキンソン病は、脳内の「ドーパミン」という神経伝達物質が減少することで、体の動きをスムーズにコントロールできなくなる病気です。そのため、初期症状として以下のような「運動器の不調」が現れやすくなります。
1. 字が書きづらい(小字症)
初期によく見られるのが、文字を書くときの違和感です。最初は普段通りに書き始めても、だんだんと字が小さくなってしまったり、枠内に収まらなくなったりします。ご本人は普通に書いているつもりでも、無意識のうちにペンの動きが小さくなってしまう「小字症(しょうじしょう)」と呼ばれる症状です。
2. ボタンがはめづらい・手先が不器用になる
洋服のボタンを留めたり、小銭入れから硬貨を取り出したりといった、指先の細かい動作(巧緻動作)が苦手になります。また、お箸をうまく使えずに食べ物をこぼしてしまう、包丁に力が入らないといった日常の不便さも現れます
3. 足を引きずるようになる・すくみ足
歩行にも変化が現れます。歩くときに片方の足が引っかかったり、引きずるように歩いたりすることが増えます。また、歩き出そうとするときや、狭い場所を通り抜けようとするとき、方向転換をするときなどに、足が床に張り付いたように前に出なくなる「すくみ足」という症状もパーキンソン病特有のものです
4. 動作の緩慢(寡動)と筋強剛(こわばり)
【第2章】運動症状の数年前から始まっている「予兆(非運動症状)」
先述した通り、パーキンソン病は運動器が障害される病気として有名ですが、手が震えたり歩きにくくなったりするずっと前から、実は**「非運動症状」**と呼ばれる予兆が現れています。近年の研究では、以下のような症状が数年前から見受けられることがわかってきました
1. 嗅覚障害(においが分かりにくい)
パーキンソン病の前駆症状として非常に重要視されているのが嗅覚の低下です。「ご飯の匂いがしない」「味が薄く感じる(砂を食べているようだ)」といった訴えが見られます。実は、パーキンソン病の原因となるタンパク質の異常は、脳の中心ではなく「鼻の粘膜」や「腸」から始まり、そこから脳へと波及していく(Braak仮説)と考えられています。そのため、運動症状より先に匂いを感じる神経(嗅球)がダメージを受けるのです
2. 頑固な便秘
嗅覚障害と同様に、発症の何年も前から「慢性的な便秘」に悩まされる方が非常に多いです。腸内環境が悪化し、腸のバリア機能が低下することが、後述する病気の根本原因へと繋がっていきます
3. 睡眠障害(特にレム睡眠行動障害)
【第3章】近年の研究で分かってきた、パーキンソン病の「真の原因」
1.腸内環境の悪化と慢性炎症
乱れた食生活やストレスで腸のバリアが壊れると(リーキーガット)、体内に汚染物質や感染源が侵入し、慢性的な炎症が起きます
2.大量の活性酸素の発生
侵入者を排除しようと免疫が過活動になり、体をサビつかせる「活性酸素」が大量に発生します
3.ミクログリアの過活動(脳内炎症)
長期にわたる慢性炎症が続くと、脳内の免疫細胞である「ミクログリア」も過剰に活性化し、自身の脳細胞まで攻撃し始めます
4.αシヌクレインの凝集(戦士のなれの果て)
この異常な活性酸素や炎症を鎮めようと、αシヌクレインが「盾」として大量に集まります。しかし、過酷な環境下での戦いが長引くと、彼ら自身もダメージを受けてボロボロになり、やがて凝集して(固まって)しまうのです。これが神経を圧迫し、パーキンソン病を引き起こします。
すなわち、パーキンソン病は脳だけの病気ではなく、全身の「慢性炎症」と「酸化ストレス」が引き起こす複合的な結果なのです。
【第4章】パーキンソン病の予兆がある人はどうすればよい?進行を防ぐ5つの生活習慣
パーキンソン病は「諦める病気」ではありません。最新のメカニズムが示す通り、原因が「脳内炎症」と「活性酸素」にあるのであれば、それを改善することで病気の進行を抑えられる可能性があります。 予兆を感じる方は、以下の生活習慣を積極的に取り入れましょう。
・腸内環境を良くするために食生活を改める
病気のスタート地点は「腸」です。腸内環境が悪化してリーキーガット(腸漏れ)が起きると、有害物質が体内に侵入して炎症の引き金となります。発酵食品や食物繊維を積極的に摂り、善玉菌を増やすプロバイオティクスやプレバイオティクスを意識した食事へと改めることが、脳を守る第一歩です
・しっかりと睡眠時間を確保し、グリンパティックシステムを働かせる
脳は睡眠中に、日中溜まった老廃物(異常なαシヌクレインなど)を洗い流す「グリンパティックシステム」と呼ばれるゴミ掃除の仕組みを持っています。また、細胞内のリサイクル機能であるオートファジーも重要です。睡眠不足はこれらのクリアランス(排泄)機能を低下させ、脳内炎症を悪化させます。質の高い睡眠時間をしっかりと確保することが不可欠です
・鍼治療や有酸素運動などで迷走神経を活性化し、脳内炎症を鎮静化する
体内の炎症が長引くと、脳と腸を繋ぐ「迷走神経」が疲弊し、自律神経がシャットダウン状態(動くことは危険だと脳が判断し、体をわざと固くする状態)に陥ります。 これを解除するために、特定の経絡を刺激する鍼治療は内臓機能を高め、迷走神経をリラックスモードへ切り替えるのに非常に有効です。また、少し息が上がる程度の有酸素運動は、脳由来神経栄養因子(BDNF)の上昇を促し、神経の修復を強力にバックアップ
・抗酸化作用のある食品をたくさん摂る
パーキンソン病の根本原因である「活性酸素」を消去するために、抗酸化物質を積極的に摂りましょう。強力な抗酸化力を持つエラグ酸などのポリフェノールは、αシヌクレインの凝集を防ぎ、腸内細菌によってより吸収しやすい形へと変換されて脳を保護します。また、熟成ニンニク由来の「S-アリルシステイン(SAC)」なども、脳内のミクログリアの暴走を抑える強力な抗酸化成分として注目されています
・ストレスを溜めない生活を心がける
過度な精神的・肉体的ストレスは交感神経を過緊張させ、体内の活性酸素を急増させます。深い呼吸を心がけ、ピラティスなどの適度なエクササイズを取り入れて、脳に「今の体は安全だ」と認識させることが大切で
【まとめ】








お電話ありがとうございます、
土井治療院でございます。