⑯脳の可塑性による痛み

 

 

股関節の痛みに脳って関係あるの?と不思議に感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、最新の医学で痛みは「脳からのアウトプット」だと言われています。いわば、脳が痛みを作り出しているということなのです。

 

 

「幻肢痛(げんしつう)」が分かりやすい例です。

これは、何らかの理由で腕を切断してしまった人が、もう腕がないのにも関わらず腕に痛みを訴えるというものです。実は、これも脳が作り出している痛みなのです。

 

ここからは、タイトルにある「脳の可塑性」について解説しながら

もう少し脳と痛みの関係性について、書いていきます。

 

「脳の可塑性」とは、脳の神経細胞が刺激や経験に応じて変化し、新たなネットワークを形成する能力を意味します。

それは、最初は出来なかったことが、練習を重ねるうちに出来るようになっていくこともその1つです。

 

例えば、最初は自転車にうまく乗ることが出来なかったのに、練習していく内にだんだんとコツを掴み、うまく乗れるようになっていく。このような経験をほとんどの方がしたことがあるのではないでしょうか。

実は、これは練習を重ねることで、脳の中で新たなネットワークが生まれ、その動作をスムーズに行えるようになったからです。

 

しかし一方で、この「脳の可塑性」は悪い方にも働きます。

日常で痛みを感じ続け「痛い」と思い続けていると、その痛みを感じる神経回路もどんどん強くなってしまい、より痛みを感じやすくなり、今までは平気だった動きでも痛みが出てしまうのです。

 

つまり、長年にわたって慢性痛を患っていると、痛みを感じる神経回路が強くなり、なかなか改善しない状態になってしまうというわけです。

 

では、普通であれば、時間が経てば和らいでいく痛みが、なぜ強さを増していくのか。

実はこの時、私たちの脳の中の「背外側前頭前野(DLPFC)」という場所が働くことで、痛みに対する注意を切り替えているからなのです。

 

DLPFCは、脳の司令塔のような役割をしていて、注意を切り替えたり、感情をコントロールするなど「これをやろう」と考えて行動する時に働きます。

つまり、DLPFCがしっかり働いていれば、「その痛みにはもう注意を向けなくていいよ」、「痛みがあるけど、別のことに集中しよう」などと判断してくれます。いわば、痛みに対して冷静に対処するブレーキ役として作用するのです。

 

ところが、このDLPFCの働きが低下していると、痛みにばかり意識が向いてしまったり、「また痛くなるかも」と不安が強くなったりすることで、痛みを感じる神経回路が強くなり、ほんの少しの刺激でも痛みを感じやすくなってしまうのです。

 

さらに、DLPFCは感情を落ち着かせる働きもあるため、機能が低下すると不安感や鬱のような症状も出やすくなります。こうなると、痛み・不安・ストレスの悪循環が生まれてしまい、ますます痛みから抜け出せなくなってしまうのです。

 

 

この、DLPFCの機能低下が起こる原因は以下のことが考えられます。

 

・内臓の不調が続き、その情報が脳の島皮質(とうひしつ)という場所に長期間伝わり続けることで、島皮質の危険判断システムが活性化し、そちらに脳のキャパシティが使われるため、DLPFCの機能低下が起こる。

・運動不足やデジタルデバイスの過使用により体性感覚、前庭覚、視覚の感覚入力に問題が生じると、島皮質の危険判断システムが活性化し、そちらに脳のキャパシティが使われるため、DLPFCの機能低下が起こる。

・過去に頭部外傷やトラウマが原因で脳のミクログリア(免疫細胞)が保護型から攻撃型に変化し、脳細胞を攻撃してしまった時にDLPFCの機能低下が起こる。

・乱れた食生活により腸内環境が悪化すると、迷走神経(自律神経)の働きが低下し、炎症促進・腸管透過性亢進。結果、DLPFCの機能低下が起こる。

 

 

「脳の可塑性による痛み」に対しての土井治療院のアプローチ法

 

このパターンの股関節の痛みは、脳の問題であるため、患部にばかりアプローチをしていてもなかなか改善していきません。「どこへ行っても股関節の痛みがなかなか改善しない」という方はもしかするとDLPFCの機能低下が起きている可能性もあります。

 

DLPFCの機能を活性化するためには

・DLPFCの機能低下を起こしている原因を除去する。

・迷走神経(自律神経)を活性化し、脳由来神経栄養因子(BDNF)を増加させる。

・自発的運動によりDLPFCの機能向上を図る。

これらを行うことが重要となります。この3つを行うことで、どこへ行っても改善しなかった股関節の痛みを改善することが出来るのです。

 

 

当院の施術では、以下のようなことを行ってまいります。

 

1.鍼治療により内臓機能の向上を行う。

手足の末端にあるツボを中心に鍼治療をすることで内臓機能を高めます。内臓機能が高まることで脳の島皮質が「安心・安全モード」へと切り替わり、DLPFCの機能低下が起こらないようにしていきます。

 

2.鍼治療、整体治療により迷走神経を刺激する。

迷走神経を刺激することで、大脳皮質で脳由来神経栄養因子(BDNF)を増加させ、DLPFCの機能改善を図っていきます。また、迷走神経刺激は攻撃型ミクログリア(M1)から保護型ミクログリア(M2)への変換も促すと言われています。ミクログリアが保護型に変わることでDLPFCの更なる機能低下を防ぐことができます。

 

3.土井治療院併設の機能回復ジムREBRUSHにて、体性感覚、前庭覚、視覚を介した脳神経エクササイズを行う。

適度な体性感覚、前庭覚、視覚への刺激はDLPFCを活性することが可能です。機能回復ジムREBRUSHでは機能神経学に基づいた脳を活性する様々なツールを用いて体を動かしながらDLPFCの活性を行っていきます。

DLPFCは一般的な鍼治療や整体治療などの受動的治療を行うより、自発的運動の方が強く活性することが最新の様々な研究でわかっています。当院では、DLPFC機能低下を防ぐ治療と運動療法を組み合わせることが改善に導く上で非常に重要な方法だと考えます。

 

 

これまで触れてきた通り、股関節の痛みは17パターンありますが、多くの整骨院や整体院ではそこまで細かく部類分けができません。それは股関節に対しての専門的な知識が薄いからです。

また、上記で挙げたように「脳の可塑性」による股関節の痛みに対するアプローチも当院では様々な角度からアプローチをしています。

 

股関節の細かな解剖学の知識や治療法を得るためには非常に時間がかかりますが、当院では年間200時間以上かけて行う技術研修で培った高い技術で、股関節の痛みを根本から改善していきます。

 

これまで様々な整形外科、接骨院を受診しても治らないという方は是非一度土井治療院にご相談ください。

土井治療院