「内転モーメント」とは関節を引き伸ばす動きのことです。この内転モーメントが起こることで股関節への負担が大きくなり、股関節の痛みへと繋がっていくのです。
内転モーメントによる恥骨筋(ちこつきん)の伸張ストレス、つまり引き伸ばされる状態になると、以下のような症状が出ます。
・股関節の内側、前側が痛む。
・蹴り出しの時に痛む。
・立っていると、だんだん痛くなってくる。
これらの症状で1つでも思い当たる項目がある方は、ぜひ続きをご覧になって下さい。
「恥骨筋(ちこつきん)」は、骨盤の前方にある恥骨からスタートして大腿骨の内側から裏側に付く筋肉です。
股関節をお腹の方に曲げたり、股関節を内側に入れる時に働きます。
この恥骨筋に、伸長ストレスが加わると恥骨筋が緊張し、股関節の内側に負荷がかかり痛みを出してしまうのです。
では、なぜ恥骨筋に伸長ストレスがかかるのか。
それは、「内転モーメント」という動きが起こることによって恥骨筋が引き伸ばされるからです。
文頭で「内転モーメント」は関節を引き伸ばす動きだとご説明しましたが、これだけ聞いても多くの人は何のことを言っているのかわからないと思います。
「内転モーメント」は、歩行の際に一方の脚から、反対の脚へと体重を乗せようと重心を寄せていった時に、体幹がずれ、股関節の内側が伸ばされる状態のことです。
内転モーメントはどのようにして起こるのか。
それは歩行の際に、中殿筋というお尻の筋肉が働いてない、または中臀筋が拘縮してしまっていることが原因で起こります。
中殿筋が働かない、または拘縮してしまう原因は、以下のことが考えられます。
・運動不足により、脳からの指令を伝える神経が機能低下を起こす。
・運動していても同じ動きばかり繰り返すことによって、同じ筋肉にばかり負荷がかかり続け、やがて筋疲労を起こす。
・一日を通して座っている時間が長く臀部を圧迫することによって筋肉が固まってしまう。
・不良姿勢により、同じところに負荷がかかり続け、やがて筋疲労を起こす。
・過去のケガにより、神経の伝達異常が起こることによって、筋肉が使えない状態になる。
・オーバーユース、つまり使い過ぎによって筋疲労を起こす。
主にこのようなことから、筋出力の低下が起こり、中殿筋が働かない、または拘縮してしまうのです。
では、なぜ中殿筋が使えていないと「内転モーメント」が起こるのか。
ここからは中臀筋が歩行の際にどのように働くのかを解説しながらお伝えしていきます。
歩行の際、中殿筋が骨盤を水平に保つことで安定した動きを可能にします。
しかし、この中殿筋が働いていなかったり、拘縮してしまったりすると骨盤が水平に保てず、図のように骨盤に傾きができることで股関節の内側が引き伸ばされる体勢、つまり「内転モーメント」になるのです。
そして、内転モーメントが起こると身体は外側に倒れないよう支えようとするため、
結果、股関節の内側につく恥骨筋が引き伸ばされ緊張。股関節の内側に負荷がかかることで、痛みを出してしまうのです。
「内転モーメントによる恥骨筋の伸長ストレス」に対しての土井治療院のアプローチ法
このパターンの股関節の痛みを改善するためには、内転モーメントが起こらないよう中殿筋の活性化し、この恥骨筋が緊張しなくてもいい状態に持っていくことが重要となります。
1.鍼治療により自律神経のバランスを整える。
自律神経が乱れると、無意識に過緊張を起こす筋肉と弱化する筋肉のアンバランスが起きてきます。
中殿筋は自律神経のバランスが乱れることで、弱化が起こります。この場合、中殿筋をいくら鍛えても神経的な抑制のため、筋力アップにはつながりません。自律神経のバランスを整えて神経的な抑制をなくすことが根本改善につながります。
これは股関節の患部に鍼治療をするのではなく、手足末端や頭にあるツボなどを用いて行っていきます。
2.恥骨筋を緩める特殊な整体を行っていく。
恥骨筋は股関節の非常に奥の方にある筋肉なので、触診することが難しい筋肉です。しっかりとした解剖学の知識と熟練した触診力がないと恥骨筋へのアプローチは出来ません。
土井治療院では、股関節周囲の細かな解剖学の知識、触診力を磨いてきているので、恥骨筋をピンポイントで捉え、緩める特殊な整体法を行うことが可能です。
3.中殿筋を活性するために股関節周辺、体幹部の神経・筋バランスを整えていく。
中殿筋の筋出力が下がっているとそれを周りの筋肉が庇おうとするため、筋肉のアンバランスが生じて股関節の痛みを益々悪化させます。
多くの方が、股関節の痛みは「筋力不足」が原因の一つだと考えがちですが、筋力不足ではなく「筋出力不足」が数ヶ月続く結果、筋力低下が起きるのです。筋出力低下は脳や神経の問題で起きるため、いくら筋トレをしても改善しません。
当院では脳・神経にアプローチする特殊な整体で神経の伝達を良くすることで筋出力を上げ、股関節周囲の筋肉のバランスを整えていきます。
これまで触れてきた通り、股関節の痛みは17パターンありますが、多くの整骨院や整体院ではそこまで細かく部類分けができません。それは股関節に対しての専門的な知識が薄いからです。
また、上記で挙げたように「内転モーメントによる恥骨筋の伸長ストレス」による股関節の痛みに対するアプローチも当院では様々な角度からアプローチをしています。
股関節の細かな解剖学の知識や治療法を得るためには非常に時間がかかりますが、当院では年間200時間以上かけて行う技術研修で培った高い技術で、股関節の痛みを根本から改善していきます。
これまで様々な整形外科、接骨院を受診しても治らないという方は是非一度土井治療院にご相談ください。
お電話ありがとうございます、
土井治療院でございます。