五十肩に効くストレッチとは?

年齢が五十代前後、数か月以上にわたる肩の痛みで整形外科を受診すると、医師からは「五十肩ですね。年齢によるものだから仕方がない」と言われ、リハビリに通ってみたが、なかなか痛みが改善しない…こんな方が非常に多いです。

それでもどうにか五十肩の痛みを改善しようと「五十肩 リハビリ」「五十肩 ストレッチ」などのキーワードで検索をかけ、リハビリ、ストレッチを試しているのではないでしょうか。

しかし、「やってみたら返って痛くなった」という方もいるはず。これは五十肩の正しい病理状態を見極めておこなう必要があるからです。

五十肩に効くストレッチは「タイミング(病期)」がすべて。 悪化と改善を分ける、病期の見極め方

五十肩(肩関節周囲炎)の症状に悩む方にとって、「肩を動かすべきか、安静にすべきか」

これは長年の大きな疑問です。リハビリやストレッチを推奨する意見もあれば、安静を勧める意見もあり、何が正しいのか判断に迷うことも多いでしょう。

 

結論から言えば、五十肩のリハビリは「どんなストレッチをするか」よりも「どのタイミング(病期)でストレッチをするか」が成功の鍵を握ります。

間違ったタイミングで無理な運動を始めると、症状が劇的に悪化する危険性があるのです。

五十肩の病期を見極める:炎症期と拘縮期

五十肩の症状は時間の経過とともに変化し、大きく「炎症期」と「拘縮期」の2つに分類されます。ご自身の現在の状態がどちらに当てはまるかを正確に把握することが、リハビリの第一歩となります。

1. 炎症期(急性期・疼痛期)【期間: 発症初期】

特徴: 炎症が最も強く、痛みが中心となる時期です。夜寝ている時でもズキズキと痛む「夜間痛」や、肩を安静にしていても痛みが続く「安静時痛」が起こります。少し動かすだけでも激しい痛みが伴います。

2. 拘縮期(慢性期・回復期)【期間: 概ね発症から数週間〜数ヶ月】

特徴: 炎症が徐々に落ち着き、痛みは和らいできますが、肩関節の可動域(動かせる範囲)が大きく制限されます。髪を洗う、服を着替える、高いところの物を取るなど、日常生活で動作の不自由を感じるようになります。この時期の痛みの多くは、動かした時に「引っかかり」や「突っ張り」として感じられます。

【病期別】絶対に守るべきリハビリの原則

「運動すべきか、安静にすべきか」の問いに対する答えは、この病期の判断に集約されます。

1.炎症期(急性期):運動療法は「絶対禁止」

炎症期は、「安静」が原則です。この時期に運動を行うと、以下のような深刻な悪化を招きます。

 

  • 炎症の悪化: 無理に動かすことで炎症反応がさらに強まり、痛みが激しくなります。
  • 拘縮の進行: 炎症が強くなると、肩を固めてしまう反応も強くなり、かえって次の拘縮期での症状を重くしてしまいます。

 

痛みが強い間は、無理に動かそうとせず、安静を保ち、炎症を鎮めることを最優先にしてください。

2.拘縮期(慢性期):慎重な運動療法が必要

痛みが治まり、動作制限が主となった拘縮期では、関節周りの軟部組織の滑りや可動域を回復させるための運動(ストレッチ)が必要になります。しかし、ここでも「無理は禁物」です。痛みを我慢して無理やり「ぎゅうぎゅう」と動かすストレッチは、かえって症状を悪化させる危険性があります。

危険なストレッチが肩を固めるメカニズム

「動かせば動かすほど治る」と誤解し、痛みをこらえてストレッチを続けると、関節の防御反応が作動し、逆効果になってしまいます。

 

肩関節の周りには「関節包」という袋があり、その関節包には、腋窩神経(えきかしんけい)や肩甲下神経(けんこうかしんけい)といった重要な神経が張り巡らされています。

これらの神経は、関節が無理に引き伸ばされた際に「これ以上伸ばすと危険だ」という信号を脳に送る役割を果たしており、

 

五十肩で硬くなった関節を無理に引き伸ばすと、この神経が過剰に反応。

反射的に周囲の筋肉を硬直させてしまいます。(攣縮)

 

その結果、一生懸命リハビリをしているにもかかわらず、筋肉が硬くなり、可動域がさらに狭くなるという悪循環に陥ってしまうのです。

安全かつ効果的なストレッチを進めるための手順

拘縮期に入り、いざ可動域を広げるリハビリを始める際は、以下の手順を参考に、「刺激を与えすぎない」ことを徹底してください。

Step 1:必ず専門家の判断を仰ぐ

自己判断で病期を正確に見極めるのは困難です。まずは五十肩に詳しい治療院や整骨院を受診し、ご自身の五十肩が現在どの段階にあるのか、どのような運動が必要かを専門家に判断してもらうことが最も重要で安全な道です。整形外科ではレントゲンのみの診断になるため、今炎症期なのか、拘縮期なのかの判断をしてくれる医師は少ないです。

Step 2:ストレッチ前の「温熱療法」を習慣にする

肩関節を温めることは、リハビリの質を高めます。関節内の潤滑油の役割を果たすヒアルロン酸などは、温めることで動きが良くなるとされています。ストレッチを始める前に、蒸しタオルや温かいシャワーなどで肩を温めて血行を促進させましょう。

Step 3:強度は「いた気持ちいい」ギリギリのラインで

リハビリ時のストレッチは、「無理にぎゅうぎゅうと伸ばさない」「呼吸を止めない」が

鉄則です。

 

●正しい強度:「伸びているな」「いた気持ちいいかな」と感じる、ご自身の限界の少し手前で止める。

●呼吸:伸ばす際は、痛みや緊張で息を止めず、ゆっくりと深い呼吸を続けながら行ってください。

 

「無理な刺激は神経を過敏にし、かえって筋肉を硬くする」という原則を忘れず、焦らず、少しずつ、穏やかに可動域を広げていくことが、五十肩克服への最短ルートとなります。

「五十肩」をより早期に改善したい方に

炎症期に迷走神経刺激をおこなうことが重要です。

自律神経に含まれる迷走神経を活性すると体内の炎症反応が収まるといわれています。

当院では、迷走神経を活性する鍼治療や整体療法を用いて炎症を鎮静化させ、炎症期の痛みを和らげていきます。炎症期は長引けば長引くほど、その後の関節拘縮が強くなるため、できるかぎり炎症を抑えてあげることが五十肩の早期改善につながります。

より早期に五十肩を改善したい。辛い夜間痛から解放されたいという方はぜひ土井治療院へご来院ください。

土井治療院