自覚症状の少ない緑内障。自分でも出来る簡易チェック法。

 

 

 

日本で失明原因の1位となるほど多い緑内障。

自覚症状がほとんどないことでよく知られており、気付いた時には病状がかなり進行していることが多く、最悪の場合、失明する危険のある疾患です。

 

 

私たちは、受け取る情報の約8割を視覚から得ていると言われています。

スマホで情報を調べたり、好きなテレビ番組やネット配信を見たり、本や新聞で記事を読んだりするなど、視覚から得られる情報は多く、起床から就寝まで視覚に頼った生活をしています。

そんな、日常で使うことの多い視覚が失われていっているのにも関わらず、なぜそこまで病状が進行してからでないと気付かないのでしょうか?

 

今回は、そのメカニズムについてお伝えするとともに、緑内障で手遅れにならないよう、自分でも簡単にできる緑内障のチェック方法についてお伝えしていきます。

 

 

 

なぜ、緑内障は自覚症状に気付きにくいのか?

 

 

では、なぜ視野障害を自覚するまでに遅れが出てしまうのか。その理由は大きく3つあります。

 

 

一つめは、視野の欠けが片方の眼から始まるためです。

 

私たちには眼が左右二つあり両眼で視覚情報を得ています。そのため片方の視野が欠けてしまっても、もう片方の眼と脳で視覚情報を無意識に補正するため、「見えている」状態になるのです。

また、両眼に視野の欠けがあったとしてもその欠損場所が重なっていなければ、やはりお互いの眼でカバーし合うので、気付かないのです。

 

 

二つめは、視野の欠けが通常は視野の外側から始まるためです。

 

私たちは、見る対象物を視野の中心に持ってきます。これは視野の中心が最もよく見えるからです。つまり、周辺部の視野が欠けていても、視野の中心で物を見ている限り、気付きにくいのです。

 

三つめは、視野欠損が極めてゆっくり進むことです。

 

視神経は視神経線維の束によって構成されています。

視神経線維は約120万本あるといわれ、少しぐらい障害されても、すぐには視野狭窄(視野が狭くなること)や視野欠損(視野がかけること)が起こるわけではありません。

10~20年かけてゆっくりとしたペースで障害が進んでいき、視神経がダメージを受けていくと、次第に視野障害が進み自覚するようになるのです。

 

以上、3つの理由から、自覚症状に気付かないまま緑内障が進行してしまうのです。

次の章では、そんな自覚症状が極めて少ない緑内障の進行を防ぐため

日頃から自分でも簡単に出来るチェック方法をお伝えします。

 

 

緑内障、自分で出来る簡易チェック法

 

はじめに、カレンダーを用意して壁に掛けてください。

 

まずは右目から。30㎝程度離れた場所で左目をつぶり、目線の位置を固定してまっすぐカレンダーの中心を見ます。この時に視野の欠けがないかを、次の流れでチェックします。

 

 

 

〇中心10°の範囲:カレンダーの数字を具体的に認識することができるか。

〇中心30°の範囲:数字は読めないものの、何かが書かれていることは認識できるか。

30㎝離した時の中心10°の範囲は約5㎝、中心30°は約15㎝です。

この時、中心30°で何かが書かれているということを認識出来るかどうかで視野の欠けが起こっているかを確認します。

 

右目が終わったら、同様に左目も行います。

 

※上記は一般の視野の広さを示したものとなります。実際には、個人差があるため、中心30°が認識出来ないからといって、すぐに異常があると捉えることはありません。

以前までの自分と比較して見える範囲が狭まっていないか、緑内障による視野障害が進行していないかチェックしましょう。

 

ちなみに、もしカレンダーがない場合は、本か新聞でも同じようなチェックが出来ます。

本や新聞で字が多いページを開いて中央の文字一文字を、片方の目は手でふさいでもう片方の目で1~2秒間凝視し、文字の一部がかすんだり、暗く見えたりしないかをチェックします。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介したセルフチェックは少しのお時間があれば、ご自宅で出来る簡単なものです。

 

 

たしかに、このセルフチェックはあくまで簡易的なものであり、緑内障かどうか確実にわかるものではありません。

そのため、もちろん眼科で定期的に検査を受けることが理想ですが、多くの方は視野障害が起こってからでないと気付かないのが現実です。

緑内障によって、一度欠けてしまった視野は二度と戻ることはありません。

気付いた時には緑内障が進行してしまって、手遅れになる場合もあります。

 

手遅れにならないためにも、今回ご紹介したチェック方法を活用しながら、少しでも気になることがあれば、必ず早期に眼科を受診するようにしましょう。

土井治療院