リウマチの症状を悪化させているのはあなたの心?

前回の記事で関節リウマチの痛みをやわらげるためには島皮質が安心安全を感じることが重要であり、そのための条件の一つとして、運動と食事が重要であることをお伝えしました。
「リウマチの痛みが運動で和らぐメカニズムとは?」

そして、島皮質が安心安全を感じるためにさらにもう一つ大切な条件、心の在り方『マインドセット』です。

自分に対するマインドセット、つまり自分の「考え方の癖」をいま一度見直すことは、島皮質の安心安全な環境をつくる要素として大変重要になります。

私たちは、今まで生きてきた中でつくられた「考え方の癖」にとらわれ、交感神経、背側迷走神経(はいそくめいそうしんけい)を過剰に働かせ、自分で自分を追い込んでしまうことがあります。

例えば「知り合いが自分を見ながらこそこそ話していた」という状況で、交感神経が過剰に働くと「陰口を言われた、許さない」と感じて事実確認もせず相手を攻撃する。また、背側迷走神経が過剰に働くと「自分がダメな人間だから陰口を言われた」と思い込み自分を責める…などです。

 

しかし前述のように、交感神経、背側迷走神経が過剰に働いている状態というのは、自分の心身や大事なものを守るために頑張っている、あるいは頑張った状態です。

いろいろな環境や状況に遭遇して、戦ったり離れたり、止まったりして、身体が命や大事なものを守ろうと対処している表れなのです。

 

したがって、この状態を修正しようとする努力は、身体にとって大変つらく負担をかけるため、逆に交感神経、背側迷走神経の過剰な働きが止まらなくなるという悪循環に陥ります。

そのため、無理に変えようとするのではなく、腹側迷走神経を働かせる工夫をし、自然と交感神経、背側迷走神経の過剰な働きを抑えることが大切です。

 

交感神経、背側迷走神経が過剰に働いていると炎症も起きやすくなり、リウマチの痛みがどんどん強くなります。

一方で腹側迷走神経が活性されると交感神経、背側迷走神経の過剰な働きを抑えてくれるので炎症抑制、痛み緩和に繋がり、リウマチの症状を緩和させてくれます。

 

腹側迷走神経の活性する「心の在り方」

自分の中で「許し、寛容、感謝」のプロセスを行うことが腹側迷走神経の活性、ひいては島皮質の安心安全につながります。その結果、関節リウマチの痛みを和らげることができます。

自分の過去と未来に対する許しができている。社会や他者に対する寛容がある。自分の周りに感謝を持っている。

これが揃うほど、島皮質が安心安全な状態となり、腹側迷走神経が活性化します。

具体的に説明していきます。

1. 許し

まずは他者に対する許しを行います。

他者によって自分が不当に扱われたと感じた経験に対し、まず自身の気持ちの変化を感じとり、当時の相手の状況を想像し、怒りや復讐など否定的な気持ちを乗り越えます。

 

それが出来れば、次は自分自身に対する許しを行います。

自分が今まで生きてきた人生の中で、犯した罪や無礼な行いを具体的に思い出し、自分のどういう未熟なところがそういう罪、過失や無礼を招いてしまったのか振り返ります。そして、その未熟さから自分がどう成長していけばいいのか考えます。

2. 寛容

寛容とは許しの範囲を広げることです。

たとえば自分にひどいことを言ってきた相手に対して、相手に対する怒りの気持ちを抑えながら、どうすれば自分と相手はもっといい関係になっていくのか、前向きに考えます。これは島皮質が過剰に危険を察知することを抑制するのです。

3.感謝

自分の親しい人に対する感謝の意を言葉にして話しましょう。それにより、後述する「腹内側前頭前野」が刺激され、感情の活性につながります。

許し、寛容、感謝・・・大事なのはわかっているけどなかなかできない理由とは?

関節リウマチの痛みを和らげるうえで「心の在り方」が大切だということは、ここまで読んでくださった方ならもうお分かりかと思います。

とはいえ、「そう言われても、すぐに許したり感謝したりなんてできない…」と思う方も多いのではないでしょうか。

 

実はその原因のひとつが、**内臓の疲れ**にあります。

私たちの感情は脳で生まれますが、その脳の働きは内臓の状態に大きく影響されているのです。

 

たとえば

* 胃の働きが弱っている

* 腸内環境が乱れている

* 薬や食品添加物などで肝臓に負担がかかっている

 

このような状態が続くと、脳が“安心・安全”を感じにくくなり、前向きな感情が生まれにくくなってしまいます。

つまり、**心を整えるためには、まず身体を整えることが大切**なのです。

 

東洋医学で「内臓と心」を整える

「内臓が疲れている」と聞くと、「でも血液検査では異常なしだから大丈夫」と思う方もいるでしょう。

しかし、血液検査で異常が出る頃には、すでに内臓はかなり疲弊しています。

東洋医学では古くから「身体・内臓・心はすべて繋がっている」と考えられており、近年の神経学でもその考えが科学的に裏付けられつつあります。

 

土井治療院では、鍼灸や神経学的アプローチを用いて**内臓の働きを整え、脳と心のバランスを回復させる**ことを目指しています。

内臓が元気になれば、脳も“安心”を感じやすくなり、「許す」「感謝する」といった感情も自然に湧いてくるようになります。

その変化が、リウマチの痛みを軽くし、身体全体を回復へと導いていくのです。

まずは小さな一歩から

関節リウマチの症状を悪化させてしまう原因と「心の在り方」は深くつながっています。

運動や食事、睡眠を整えることももちろん大切ですが、**心の状態を変えることが根本的な改善の鍵**となります。

 

「自分ひとりでは難しい」と感じる方は、どうぞ一度ご相談ください。

土井治療院では身体と心の両面からあなたをサポートし、**“安心して動ける毎日”を取り戻すお手伝い**をいたします。

土井治療院