関節リウマチの治療において、現在国内で使用されている抗リウマチ薬には幾つか種類があります。 その中で“メトトレキサート“はアンカードラッグ(中心的薬剤)としてリウマチ治療の第一選択薬に選ばれており、“免疫抑制作用”を持つ抗リウマチ薬として最も高い有効率、継続率、関節破壊の進行抑制が認められている薬です。 欧米でのメトトレキサート使用率は 83%とほとんどの患者さんが服薬しており、日本では1999 年から保険適用が認められました。 このメトトレキサートは高い有効性はありますが、服薬直後に関節痛が和らぐ訳で はなくおおよそ 2 週〜4 週間程度で効果が現れます。 元々は白血病や乳がんなど悪性腫瘍に対して投与されてきた薬です。そのため投薬の量によっては強い副作用が出現します。
強い副作用が出る場合は主治医の先生と相談の上、他の抗リウマチ薬や生物学的製剤と併用をしていく必要があります。ご自身で薬の副作用を理解しておくこと は身体の異変にすぐ気付けますし、症状をコントロールしていく上でもとても大切なことになります。
メトトレキサートは何故リウマチに効くのか?
メトトレキサートは「葉酸」の産生を抑制します。葉酸とは細胞が分裂や増殖をする時に必要な物質です。メトトレキサートの服薬により炎症を持続する細胞は減り、関節内で活発になっているリンパ球の働きを落ち着かせることができます。この経過を得て関節の炎症が治り、痛みが和らぐと考えられています。
需要な副作用
メトトレキサートは頻度は多くありませんが、副作用の中には重篤な症状をきたす場合があり注意が必要です。 服薬量だけではなく色々な危険因子が重なることで重篤に至る場合もあります。
副作用発生時に適切な治療を速やかに受けれるようにご自身の頭の中に入れて おきましょう。
1.骨髄障害 2.間質性肺炎 3.感染症 4.消化管障害 5.肝障害 6.リンパ増殖性疾患
このような副作用が現れた際には速やかに主治医の先生にご相談ください。 それぞれの症状について書くと長くなってしまうので詳細については別の記事で書 いていきたいと思います。
副作用の早期発見のために気をつけ、チェックするべき症状
メトトレキサート服薬中は常に副作用の出現に注意を払う必要があります。 特にメトトレキサートの投薬開始後や増量後の 1ヶ月程度は口内炎、下痢、食欲 不振などの消化器症状が特に起こりやすいです。 重篤な症状以外にも以下の自覚症状に気をつけ、お身体にいつもと違う症状が現 れたら早めにかかりつけのお医者様に相談しましょう。
発熱、咳嗽(がいそう・咳き込むこと)、息切れ、呼吸困難
これらの症状は細菌性肺炎、ニューモシスチス肺炎、間質性肺炎などの重症な肺 障害の可能性があります。
食欲不振、嘔吐、下痢、口内炎、咽頭痛
特に高齢者ではこれらの症状により脱水になりやすいです。そのためメトトレキサ ートの血中濃度が高くなるので骨髄障害(白血球、赤血球、血小板が減少すること)が出現しやすくなります。口内炎、口腔びらん、咽頭痛を訴える場合、骨髄障害が疑われるので注意が必要です。
嘔吐、倦怠感
一時的なものであれば問題ないですが、症状が強かったり慢性的に続く場合はメ トトレキサートの濃度が高く、肝機能障害の可能性があります。
皮下出血(出血がしやすい)
骨髄障害による血小板減少症の可能性があります。主治医の先生に相談し、詳し い血液検査を受けてください。
尿量減少、下腿浮腫、体重増加
腎機能の確認が必要です。機能低下がある場合はメトトレキサートを減量、または中止します。 メトトレキサートの治療開始前に腎機能が正常であっても、他の抗リウマチ薬、 NSAIDs(消炎鎮痛剤)などによる薬物性腎機能障害が起こる可能性があります。
葉酸の投与について
メトトレキサートは“葉酸”というビタミンの働きを抑えることで効果が表れま す。しかしながら投与量が多くなると副作用も起こりやすくなります。一般的にメトトレキサートを8mg/週以上服薬する場合、また副作用が高い症例では、抗リウマチ薬や生物学的製剤との併用が必要になります。
メトトレキサートは“葉酸”というビタミンの働きを抑えることで効果が表れます。しかしながら投与量が多くなると副作用も起こしやすくなります。一般的にメトトレキサートを8mg/週以上服薬する場合、また副作用が高い症例では、抗リウマチ薬や生物学的製剤との併用が必要になります。
通常、葉酸はメトトレキサートを服薬後24〜48時間後に服薬します。飲むタイミングをずらすのは葉酸によってメトトレキサートの効果を弱めてしまうからです。もしも葉酸を飲み忘れた場合、忘れた分をまとめて服薬してはいけません。
飲み忘れに気づいたら1日ずらして服薬するか、その週は服薬せず1週間空け て服薬します。
今回の記事ではメトトレキサートの注意点をまとめてみました。
関節リウマチ治療の第1選択薬として多くの患者さんが服薬されている”メトトレキサート“
お薬について詳しく知らなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
中々血液検査の数値が下がらず、毎週多量のメトトレキサートを飲み続けたことで 首のリンパ節が腫れてしまったり、強い吐き気が続いたという患者様もいらっしゃいます。(どちらもお医者様に相談して薬の処方をかえてもらい副作用はなくなりま した。)
今回ご紹介した副作用以外にも重篤な副作用がメトトレキサートにはあります。 ご自身が飲まれている薬の理解を深めることで副作用が出てきても落ち着いて対応できると思いますので是非参考にしてみてくださいね。
記事監修者
土井治療院 院長 土井亮介
【臨床経験23年】
「良い」と言われる施術技術があれば、北は北海道から南は九州までどこへでも足を運び、鍼灸・整体・気功・波動療法・エネルギー療法などさまざまな技術に磨きをかけ続け、セミナーに掛けた総額は2,000万円以上。あらゆる不調を改善へと導くため今でも絶えず技術の追求をし続けています。2013年「土井治療院開院」。これまでの延べ臨床数176,123名。
【保有資格】
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
リウマチによる関節の痛みでお困りの方へについて詳しくはこちら
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