リウマチの痛みが運動で改善するメカニズムとは?

リウマチの痛みが運動でやわらぐ?そのカギは「脳」にあります。

「関節リウマチには運動がいい」と聞いたことはありませんか?
実際、インターネットで「リウマチ」と検索すると、「リウマチ 運動」という言葉がよく出てきます。

とはいえ、関節リウマチは複数の関節に炎症が起こり、進行すると関節の変形や破壊につながる自己免疫の病気です。
そう聞くと、「動かしたら悪化するのでは?」と不安に思う方も多いでしょう。

ところが最近の研究では、正しい方法で体を動かすことで、リウマチの痛みや炎症がやわらぐことが分かってきました。
その理由は——意外にも「脳」にあるのです。

脳の島皮質(とうひしつ)が今の心身が安全でなく、危険で驚異的だと判断することでリウマチの症状は悪化する

他のの記事で、関節リウマチの悪化に脳の偏桃体が大きく関係していること。

また、偏桃体が過剰に反応する原因の一つとして、脳の「島皮質」の状態が関係していることをお伝えしました。

 

島皮質は、脳の外側にある溝の奥に存在し、いま自分の身体が「安全か、危険か」を評価する役割を担っています。

そのため、人が意思決定をして行動する際、

島皮質が、いま身体は “その行動” をできる状態にあるのかを判断するため、瞬時に以下の確認を行います。

 

・その行動をおこすだけの資源、エネルギーがあるか

・体内の炎症状況はどうか

・酸素や二酸化炭素の代謝、腸内細菌の働き具合は大丈夫か

・関節や筋肉から脳への感覚入力がちゃんとあるか

 

これらを踏まえ、島皮質は身体が安全な状態にあると判断すると、

偏桃体の過活動を抑制し気分を安定させます。

 

 

一方、身体の状態(腸内・関節・筋肉など)が不安定な場合、島皮質はいま身体が危険な状態にあると判断します。その結果、偏桃体が過活動を起こし偏桃体症候群になるのです。

もう少し詳しくご説明します。

 

一般的に関節リウマチの方が運動を行うと、痛みが軽減するといわれています。

痛いのに、運動をすることで痛みが軽減する・・・なぜでしょうか?

 

これは、リウマチで関節が痛いからと言って身体を動かさない状態が続くと、

身体から脳への感覚入力がなくなり、脳が身体の状況を把握できなくなります。

 

その結果、島皮質は身体が危険な状態と判断し、偏桃体症候群が起こるのです。

そうなると、交感神経が過剰に反応し、実際より強く痛みを感じるようになり、炎症が起きやすくなるのです。

 

そういうときは、運動をして身体感覚を脳に入れてあげることで、再び脳が身体の状況を把握し、島皮質がいま身体は安心安全だと判断します。

これが、運動がリウマチに効果的だと考えられる理由なのです。

運動+食事改善でさらに痛みを和らげる

また、さらに関節リウマチの改善には食事も重要です。

 

特に、小麦、乳製品、精製糖、加工食品、大型の魚に含まれる水銀は腸内で炎症を起こし、交感神経を過剰に反応させる要因となります。

 

しかし、「まごわやさしい」(豆、ゴマ、わかめなど海藻類、野菜、魚、しいたけなどキノコ類、いも類)の食品類はビタミン、ミネラルなどの栄養素、食物繊維が豊富で、腸内環境を整えてくれます。

実は、我々日本人が食べてきた和食は、基本スタイルの一汁三菜(主食、主菜、副菜)から成るバランスの良い献立で「まごわやさしい」の食品を取り入れやすくなっています。

 

適切に食事を行い、腸内環境を整えることで、リウマチによる免疫異常を正常化し、過剰な炎症を制御できるのです。

 

しかし近年では、食事の欧米化によりビタミン・ミネラル・食物繊維といった栄養素が不足し、関節リウマチの改善に影響を与えています。

 

健康な身体をつくるためには、まず日々の食事から見直していきましょう。

関節リウマチの方におすすめの運動は「やさしい低負荷運動」

「運動」と聞くと筋トレのようなきつい運動を思い浮かべる方が多いと思います。
でも実は、運動にはいくつか種類があり、関節リウマチの方に合っているのは“低負荷(低閾値)運動”です。

筋トレなどのように強い力を使う運動(高負荷運動)は、筋肉を鍛えるには良いのですが、
リウマチの方が行うと関節に負担がかかり、痛みや炎症が悪化してしまうことがあります。

一方で、「低負荷運動」は筋肉にあまり力を入れず、体をゆっくり丁寧に動かす運動です。
たとえば、ピラティスやヨガのような動きがこれにあたります。

なぜピラティスがリウマチの痛みに良いの?

ピラティスのような低負荷運動を行うと、関節や筋肉から脳に「体の状態を伝える信号」がしっかり届くようになります。
この信号が脳の“安全スイッチ”を押してくれることで、
「体は大丈夫」「今は安全」と脳が判断し、痛みや炎症を強めるストレス反応(偏桃体の暴走)が落ち着くと考えられています。

そのため、ピラティスをした後に「体が軽くなった」「痛みが楽になった」と感じる方が多いのです。

土井治療院併設の機能回復ジムREBRUSHでは「脳と体をつなぐピラティス」を行っています

最近はピラティススタジオも増えていますが、
残念ながら短期間の講習で資格を取っただけのインストラクターも多く、
「リウマチの方に必要な体の感覚入力」や「脳への安全信号」について理解している方はほとんどいません。

土井治療院では、併設する機能回復ジムREBRUSH(リブラッシュ)にて、
機能神経学に基づいた特別なピラティスを行っています。

ニューヨークで経験を積んだ専門インストラクターが中心となり、
トレーナー全員が毎週研修を受けて常に最新の知識を学んでいます。

また、海外の神経リハビリ施設でも使われている
「モーションガイダンス」というツールを使い、
関節の位置感覚を高めながら安全に体を動かせるようサポートしています。

「痛いから動けない」を卒業しませんか?

「動かすと痛い」「運動したいけど怖い」そんな方こそ、
体にやさしく、脳が安心できる運動から始めましょう。

土井治療院・機能回復ジムREBRUSHでは、
リウマチの痛みをやわらげ、“安心して動ける体”を取り戻すお手伝いをしています。

お気軽にご相談ください。

土井治療院