リウマチの治療に新たなアプローチ。偏桃体症候群を改善する方法とは?

「薬を飲んでも痛みが残る」「天気やストレスで関節がうずく」「原因がわからない疲労感が続く」――

そんなリウマチの痛みの背景に、“脳の働き”が関係していることをご存じでしょうか?

 

これまでの記事では、リウマチの痛みには「免疫」や「炎症」だけでなく、脳の中にある“偏桃体”というストレス中枢が深く関わっていることをお伝えしてきました。

まだご覧になっていない方は先にそちらの記事をご覧ください。理解が非常に深まります。

  1. 最新の研究で判明!リウマチの原因に“偏桃体症候群”が関係していた
  2. リウマチの痛みが運動で改善するメカニズムとは?
  3. リウマチの痛みを悪化させているのはあたなの心?
  4. リウマチの痛みを悪化させているのは脳が原因?

そして、この偏桃体の過活動を抑えられなくなってしまう原因残り2つが、「腹内側前頭前野(ふくないそくぜんとうぜんや)」「前帯状回(ぜんたいじょうかい)」といった“脳の調整ネットワーク”の機能低下にあるのです。

 

これらの脳領域は、感情のコントロール、ストレス耐性、痛みの感じ方、自律神経や免疫のバランスに直結しています。

しかし、ストレス・加齢・睡眠不足・スマートフォンなどのデジタル過多な生活によって、このネットワークがうまく働かなくなり、偏桃体が常に“危険信号”を出し続ける状態――

つまり、痛みや炎症を必要以上に強く感じてしまう状態が生まれるのです。

 

今回は、これらの脳の働きを整え、痛みをやわらげるためのヒントを「腹内側前頭前野」「前帯状回」という2つの視点からわかりやすく解説していきます。

最新の神経科学と東洋医学の考え方を融合させながら、リウマチの痛みに対する新しいアプローチを見ていきましょう。

偏桃体症候群を起こす3つ目の原因「腹内側前頭前野の機能低下」

腹内側前頭前野は、脳の最も内側に近い領域にあり、

感情の制御や社会的活動、偏桃体の過活動の抑制、恐怖や緊張の緩和

またあとでお伝えする「前帯状回」のコントロールを行っています。

 

そして、この腹内側前頭前野も、背外側前頭前野と同様に、老化や過度のストレス、感覚入力不足、病気、デジタルデバイスの過度な使用で機能低下を起こすことが分かっています。

 

では、腹内側前頭前野が機能低下すると、どうなるのでしょうか?

 

そもそも偏桃体は、怒り、恐怖、不安といった情動の基盤となる神経回路のひとつで、緊急性が高い何かの刺激を受けると、すぐに反応し交感神経を働かせ、心身を「戦う、逃げる」モードにします。

 

その一方で「腹内側前頭前野」は、物事の価値を判断して、中長期的な利益をはかり、衝動や欲求を抑える工程に関わっています。

 

つまり、腹内側前頭前野が機能低下すると、偏桃体の活動を抑えることができず、常にイライラや不安を感じたり、衝動的で場当たり的な行動をとるようになるのです。

 

 

 

十分な睡眠と、デジタルデバイスの過剰使用を避けるとともに、

腹内側前頭前野の働きを向上させるコツは、「好きなことをすること」です。

 

私たちの生き生きとしたエネルギーを作り出すものは、好きなことをしたり、好きなものに触れている時間です。時間を忘れて没頭できるものは、生きる力を与えてくれるのです。

 

人は好きなことをするためには、ちょっと面倒なことも引き受けようとする側面をもっています。これは嫌なことから受けるストレスと異なり、心地よいストレスを与えてくれます。

 

また、過度な負荷がかかった心身ほど、好きなことに熱中することでストレスに強くなり、元気に好きなことをやり続けるため健康であろうとします。

 

しかし中には、趣味がない人や、好きなことがわからない人もいると思います。

特に家族のために時間を費やしている主婦の方や、仕事がすべてで生きてきた方に多い悩みです。

こういった方々は「この趣味を持っていたらどう思われるか?」などと周りの目に注意を払いすぎて、好きなことが分からない場合があり、他人からの評価を気にしている人が多いです。

 

 

周りがどう思ってもあなたの人生はあなたが主人公です。

あなたがどういう人生を過ごすかは、周りに関係ないのです。

 

趣味や好きなことの見つけ方として、自分が子供のころに好きだったことをしてみるといいでしょう。

 

どういう時が楽しかったのか?どんなことにワクワクしたのか?

まずは自分に問いかけてみてください。

偏桃体症候群を起こす3つ目の原因「前帯状回」

前帯状回は脳の内側、前方にあります。

その役割は

・偏桃体の抑制

・腹側迷走神経の活性

・大脳皮質の活性

です。

 

前帯状回が働くことで偏桃体の過剰な活動が抑制され、安心安全を感じる腹側迷走神経の機能が高まります。

そして、大脳皮質は感覚情報の処理、運動の制御、思考や判断、言語機能など、人間の生命活動のすべてに関わっており、前帯状回が働くことで心と身体がスムーズに動くのです。

しかしまた、この前帯状回も、背外側前頭前野や腹内側前頭前野と同じように、ストレスや加齢、睡眠不足、運動不足による感覚入力不足、デジタルデバイスの過剰使用などで働きが低下します。

 

前帯状回の機能が低下すると、感情制御が困難になったり、軽い痛みを実際の数倍以上の耐えがたい痛みに感じたりします。

このほか、前帯状回の機能低下は、特にうつ病や双極性障害の症状と関連するとも言われています。

 

では、どのようにして前帯状回の機能低下を、改善すればよいのでしょうか?

まず前帯状回が機能低下を起こすと、交感神経、背側迷走神経が過剰に働きます。

しかし以前の「マインドセット」の記事でお伝えしたように、交感神経、背側迷走神経の働きを抑制しようとする努力は身体にとってとても不自然で負担のかかることです。

なので、そこを変えるのではなく、「腹側迷走神経が働いた状態=安心安全を感じる瞬間を増やしていく」という発想がとても大切になります。

 

では、どうすれば自分の安心安全を増やせるでしょうか。

 

まずは「自分の腹側迷走神経が働いて、ほっとしたとき、穏やかになれているとき、のんびり過ごせているとき」に気付いてみましょう。

そして、どんな刺激を受けたから安心安全になったのか。どんな環境に身を置いたから安心安全になったのか。

「刺激と反応のセット」で観察していきます。

 

あなたの身体が安心安全になった刺激や環境はどんなのでしょうか?

飼っているペットがご飯をおいしそうに食べている様子を見ているとき。いい香りの入浴剤を入れて湯船に浸かっているとき。いい雰囲気のお店でご飯を食べているとき。

 

数分でも、数秒でもいいのです。

少しでもほっとしたり、穏やかに力が抜けたり、脈拍や呼吸がゆったりしている瞬間が必ずあります。

そこを思い出して、その時の自分を観察してみてください。

自律神経は意志で動くのでなく、刺激に反応しているのです。

 

 

それができたら、次に「さらに安心安全を感じるには、どのように環境を整えたらいいか」とイメージを膨らませていきます。

 

例えば、こんな感じです。

 

・好きなアーティストの曲を聴いているときは穏やかな気分だと気付いた。どうすればもっと気持ちがよくなるか考えたら、イヤホンにもっとこだわってみようと思った。

・ストレッチポールに背中を当ててゆらゆらしているときは力が抜けていると気付いた。

どうやったらもっと脱力できるか考えたら、お風呂に入った後にやるともっと良くなった。

 

いかがですか。ちょっとしたことで、地味に見えるかもしれませんが、しかし、このコツコツさがとても大切なのです。

 

脳は筋肉と同じように、鍛えれば鍛えるほど特定の脳領域の体積が大きくなることがわかっています。

 

このように「安心安全な瞬間」を観察し、「自分の安心安全は何に反応するか」に気付き、「どうすると安心安全は広がるか」について連想を膨らませることを、毎日心がけてみましょう。

そうすることで前帯状回は活性化し、安心安全の腹側迷走神経が働くにつれて、身体は自然に調整されていきます。

そしてリウマチ発症、増悪にかかわる自律神経の乱れからの免疫異常を抑え、良い状態を保つことができるようになるのです。

偏桃体症候群を改善し、健康な体を取り戻す。

偏桃体症候群を引き起こす主な要因は、

  1. 島皮質(とうひしつ)が「身体的・精神的に危険」と判断してしまう
  2. 背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)の働きが低下する
  3. 腹内側前頭前野(ふくないそくぜんとうぜんや)の働きが低下する
  4. 前帯状回(ぜんたいじょうかい)の働きが低下する
    ――という4つの要素です。

これらを整えることで偏桃体の過剰反応が鎮まり、リウマチの痛みをやわらげることにつながります。
しかし実際には、リウマチの方ご自身でこのバランスを回復させるのは簡単ではありません。

リウマチの痛みが強い状態では、体内の炎症反応も高まり、免疫の暴走が起きているケースがほとんどです。
腸のバリア機能が弱まり異物が体内に侵入したり、肝臓に負担がかかって島皮質が「不快」「不安」と判断しやすくなったり、炎症性サイトカインが脳に達して前頭葉の働きを低下させる――
こうした反応が重なり、炎症と偏桃体症候群が“負のループ”を作り出してしまいます。

このループを断ち切るためには、体内の炎症を鎮めながら脳と自律神経の働きを整えることが大切です。

土井治療院では、リウマチの痛みを根本から改善するために、
鍼灸と整体を組み合わせて内臓機能を高め、体内炎症を抑えながら、脳の過剰なストレス反応(偏桃体の暴走)を鎮めるアプローチを行っています。

さらに、併設する機能回復ジム「REBRUSH」では、リウマチの方でも安心して行える低負荷運動プログラムや、炎症を抑えるための栄養指導も行っています。

リウマチは“完治が難しい”と言われる疾患ですが、
東洋医学の全身バランスの考え方と、機能神経学を基にしたアプローチを組み合わせることで、
痛みの緩和や症状の進行を止めることは十分に可能です。

もし今、リウマチの痛みでつらい日々を送っているなら――
「痛みを抑える」だけでなく「身体そのものを整える」ことから始めてみませんか?
ぜひ一度、土井治療院にご相談ください。あなたの身体が本来もっている“回復力”を取り戻すお手伝いをいたします。

土井治療院